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HKファクトリー ボーカルリングについて
発売を開始してから大好評のボーカルリングについて、製作者と沢山やり取り出来たので、少し詳しくかかせていただきます。
このボーカルリングの主な狙いは、ボーカルに共振させるものを取り付けて、ボーカルの響きを高めることです。ボーカルの振動は楽器にとってかなり大切です。試しにボーカルを手でつかんだ状態で楽器を吹いてみてください。手は柔らかいので、ボーカルの振動を吸収してしまうので、音がぼやけてしまうと思います。ボーカルリングは総銀なので、同じ金属のボーカルに取り付けると共振して、厳密にいうと一緒に振動します。その振動によって響きが加わります。
ではなぜ表面もしくは裏面、両面に凹凸を持たせてるかというと、金属は叩くと叩いた部分が硬くなります。そこであえて共振させる部品に硬さの違いを持たせて、振動を複雑にわざとしてしまい、その複雑な振動が楽器の響きにつながることを狙っています。
この凹凸をどの部分に付けるかで、ボーカルにはめたときの共振の仕方に変化が出ます。
Wタイプ
両面に凹凸を持たせているため、最も共振しやすく、硬い部分が多くなり、ボーカルとの接地面が少なくなるので、音色が明るくなります。抵抗感も体感することはないです。
Rタイプ
裏面にのみ凹凸をもたせて、Wタイプと同じようにボーカルとの接地面を少なくして、Wタイプより硬い部分を減らして、Wタイプと同じ傾向で、音色はWタイプよりは少しまろやかになります。
Nタイプ
裏面に凹凸も待たせないで、ボーカルとの接地面を増やして、表面には凹凸を待たせて、金属の硬さの違いは持たせて、抵抗感もそこまで(表現が難しいですね)体感することなく、程よい響きが加わります。僕は個人的にはこのタイプが標準かと思いました。
Nタイプ金メッキ
Nタイプに薄く金メッキをかけることにより、Nタイプに比べて接地面が柔らかくなるので、音が少しまろやかになります。傾向はNタイプと同じです。僕は個人的な好みで、(楽器のタイプが音が明るめなので)こちらを愛用しています。
2個組み合わせてつける
これはタイプの違うものを2個取り付けることによってさらに響きを加えることが出来ます。さすがに2個つけると個人的な感覚では抵抗感は増しました。(厚いリードに変えたというほどの変化はありません。)これは、いろいろ組み合わせて違いを楽しむことができます。
と各タイプそれぞれの特徴があります。楽器の音の好みは、自分自身がどのような音が好みなのか?自分の楽器の音色の傾向はどうなっているか?吹いているリードはどのような傾向なのか? というように全員違うものだと僕は認識していますし、どの方向性でも間違いがないと思っています。
ボーカルリングも、どれがお薦めかと言われると「僕は現在は」という枕詞をつけるしかないほど、どれもいいところがあります。
しかも、演奏する形態によって簡単に付け替えることが出来る、また、リードと違って変化していかない!劣化しない!という大きな特徴があります。
僕も、本番で毎回使って、もう手放せません。一度ご検討 ください。
練習リードについて
皆さんは、個人練習の時はどのような状態のリードで吹いておられますか?
勿論良いリードをレッスン、合奏(早く再開出来ることを願っています)で吹きたいのはやまやまだとおもいます。
そして、個人練習の時に、吹きにくいリードで吹いていることが多いと思いますが、これも程度問題ですが、もうレガートがかからない、息がもたない、発音ができない、位吹きにくいので練習することはおすすめできません。
特に今回のコロナウイルスの影響で、楽器を吹くのが、自分の練習に限られる時に、主に基礎練習の時はなおさらです。
エチュードはファゴット奏者が書いているものがほとんどで、リードのクオリティも加味されて書かれています。それを吹けないリードで「無理やり、力ずく」で吹くのは、練習の効果が半減するだけでなく、変な癖がついてしまいます。
なので、練習するときも、本当に吹きやすいのは来るべき合奏、本番のためにとっておいても構いませんが、その2番手、3番手位の物で、練習することをおすすめします。
吹いていて気持ちがよくないと、音楽の練習ができないどころか「音が苦」になってしまっています。
製作者:久住雅人
プロフィール
*1996年
大阪音楽大学音楽学部器楽学科
ファゴット専攻入学
*2001年
同大学を首席で卒業
*大阪音楽大学オペラハウス管弦楽団ファゴット奏者を経て、
現在、大阪フィルハーモニー交響楽団1番ファゴット奏者